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help リーダーに追加 RSS 【ウォーターゲート】ハワード・ハント氏死去【チャンドラー】

<<   作成日時 : 2007/02/02 01:32   >>

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米ウォーターゲート事件の実行犯、H・ハント氏が死去

【ライブドア・ニュース 2007年01月25日】− AP通信によると、1974年8月9日のニクソン大統領辞任につながるウォーターゲート事件で実行責任者だったハワード・ハント氏が23日、マイアミのノースショア・メディカルセンターで肺炎のため死去した。88歳。葬儀は29日、マイアミ市内で行う。

 海軍を経て米CIA(中央情報局)工作員として1961年にキューバのカストロ政権打倒を狙ったピッグス湾事件などに関与。退職後、共和党のニクソン大統領のスタッフに加わった。5人の男が1972年6月17日、ワシントン市内のウォーターゲートホテルにある民主党全国委員会本部へ侵入した事件で犯行計画にかかわり1973年に有罪となった。

 2年9カ月の服役が終了した後、事件の弁護費用や罰金の負担がかさみ1997年には破産を宣告している。来月に"American Spy: My Secret History in the CIA, Watergate and Beyond"と題する同氏の回顧録が出版される予定という。

 同事件では「ディープ・スロート」と呼ばれる内部告発者の協力によってニクソン政権が崩壊の一途をたどったとされているが、2005年5月には当時連邦捜査局(FBI)副長官だったマーク・フェルト氏が、自分が内部告発者であったことを公表した。 【了】


 このハワード・ハント氏、「エヴェレット・ハワード・ハント―Wikipedia」によると、CIA局員としてピッグス湾侵攻事件、カストロ暗殺未遂などに関わった輝かしい(というかキナ臭い)経歴の他に、イアン・フレミングばりにスパイ小説まで執筆していたらしい。
 ミステリ作家の作品リストを掲載しているサイト「Crime And Mystery Fiction」によると、「Howard Hunt」氏はいくつかのペンネームを用いて、40年代からつい最近まで、コンスタントに作品を発表していたようだ。
 残念ながら翻訳はされていないようだが、「Amazon.co.jp洋書」では一部の作品が購入できる。
 E. Howard Hunt名義の「Sonora」は、DEAエージェントのジャック・ノバックが主人公で、他にもシリーズ作品があるようだ。
 「Amazon.com」まで足を伸ばせば、他の名義での作品もほぼ全て揃っている。
 Robert Dietrich名義では、元CIAマンの弁護士スティーブ・ベントリーが主人公のシリーズがある。
 「Amazon.com」で見る限り、古いものはさすがにNo Image Availableが多いが、中には表紙を拝めるものもある。
 「Murder on Her Mind(A Steve Bentley Thriller)」「Steve Bentley’s Calypso caper」あたりの、いかにも40〜50年代パルプ・ノワール風の、安っぽいカバーイラストがたまらない。

 もしかして御大レイモンド・チャンドラーやダシール・ハメット様と並んで、「ブラック・マスク」あたりに作品が掲載されていたのではないかと思い、ちょっとググってみたところ、面白い記事を見つけた。
 何とハント氏は、御大レイモンド・チャンドラーに手紙を出したことがあるそうな。
 ミステリ作家のマーク・コギンズ氏によるブログ記事「Riordan’s Desk: E. Howard Hunt and Raymond Chandler」には、チャンドラーがハント氏に宛てた手紙のコピーが掲載されている。

 どうもハント氏は、御大初期の長編が、昔の短編を元にしたものであることに対して、「自己盗作は倫理に反することではないか」とクレームをつけたようだ。御大がその経緯について弁明を行っているのがその手紙である。昔の短編というのは、30年代に「ブラック・マスク」に掲載された後、50年代に短編集「簡単な殺人法」(The simple art of murder)に収録されて出版されたもののようで、ハント氏のクレームはその短編を読んでのことであるようだ。短編は一部邦訳もされているので、ご存知の方も多いだろう。

 さて、手紙の内容はと云うと、

「出版社の奴らが勝手に(「簡単な殺人法」を)出版したんだよ」
「映画の仕事で忙しかったんだよ」
「弁護士に金払っても、何の役にも立ちゃしねえ」
「俺の作品をどう使おうと、俺の勝手だろう」
「タイトル変わってりゃ別物なんだよ」
「昔の作品をこうやって読めるんだからいいじゃん」
「みんなだって俺やハメットのこと真似してるじゃん」

 といったところだ。
 その御大の手紙に対して、ハント氏が何らかの回答をしたのかは定かではない。

 ハント作品のレヴューをちょっと読むと、やはり「007」と比較されているようで、派手なアクションに金と女といった趣の、エンターテイメント・スパイ小説であるらしい。特に「End of Stripper」(ストリッパーの最期)あたりは、タイトルからして実にそそるものがある。
 しかし小説を書く感覚で、現実のスパイ活動も行っていたとなると、失敗して当然かという気もする。ピッグス湾侵攻や毒葉巻作戦をものともせず、カストロは未だに健在である。
 彼の経歴をみると、どう考えてもケネディ暗殺にも関わっていたと思われるが、この点は例によってうやむやになっているようだ。
 ケネディ暗殺は壮大かつ複雑なプロットを経て一応成功しているので、関わったとしても端役だったのであろう。

 CIAはプロパガンダのために、多額の予算を投じて、多数の出版社やライターを抱きかかえていると言われている。彼の執筆活動も、全面的に組織のバックアップを受けてのものであったに違いない。
 一応実際の活動に伴う逮捕歴があり、経歴も明らかになっているので、まさか落合“ノビー・ザ・グレート”信彦氏や、柘植“元グリーンベレー”久慶氏のようなことはあるまい(そういえばノビーは、ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインをけなしていたな)。

 二月には自伝「Americanspy: My Secret History in the CIA, Watergate And Beyond」を出版予定であるが、その前に亡くなったのは残念である。これを機に、東京創元社あたりで、過去の作品を一気に出版してくれれば面白い。

 故人の冥福を祈る。

ウォーターゲート事件―Wikipedia

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